5月3日の午後1時、京都・下鴨神社の糺の森(ただすのもり)に馬蹄の音が響きます。
「流鏑馬神事(やぶさめしんじ / Yabusame Shinji)」。公家装束をまとった射手が疾走する馬の上から3つの的を次々と射抜く、葵祭の前儀にあたる神事です。
🏇 糺の森を駆ける――葵祭の前儀
下鴨神社の流鏑馬神事は、5月15日に行われる葵祭(賀茂祭)の安全を祈願する前儀として行われています。糺の森の参道に設けられた約500メートルの馬場を、射手が全速力で駆け抜けながら3つの的を射ます。
射手の装束は、鎌倉時代の武士のものではなく、平安時代の公家風です。これは下鴨神社の流鏑馬が、武家の弓馬術とは異なる宮中行事の系譜に連なるためです。糺の森の新緑の中を、色鮮やかな装束の射手が馬で駆け抜け、矢が的に命中すると乾いた音とともに的板が割れる。その瞬間、沿道から拍手と歓声が上がります。
鑑賞のポイント
流鏑馬神事を見るためのポイントです。
- 時間と場所:2026年は5月3日(日・祝)の13時〜15時30分に行われます。会場は下鴨神社の境内、糺の森の馬場です。京阪電車・出町柳駅から徒歩約12分。
- 観覧:馬場の両側に有料観覧席と自由観覧エリアが設けられます。有料席は事前販売で、発売開始後すぐに埋まることが多いため、早めの確認が必要です。自由観覧エリアは当日先着順で、場所によっては馬が走る迫力を間近に感じることができます。
- 撮影:馬の速度が速いため、スマートフォンでの撮影はブレやすく、連写モードの使用がおすすめです。馬場のカーブ付近は速度がやや落ちるため、射手の表情や矢を射る瞬間を捉えやすいポイントです。
- 葵祭との関係:この流鏑馬神事は、5月15日の葵祭・路頭の儀に先立つ一連の前儀の一つです。5月3日の流鏑馬のほか、5月4日には斎王代禊の儀(斎王代が御手洗川で身を清める神事)なども行われます。
🌿 糺の森という空間
流鏑馬が行われる糺の森は、下鴨神社の境内に広がる約12万4千平方メートルの原生林です。ケヤキ、エノキ、ムクノキなどの広葉樹が茂り、京都市街の中にありながら縄文時代からの植生が残るとされています。世界遺産「古都京都の文化財」の構成要素にも含まれています。
流鏑馬の日は、この森の中に馬蹄の音と弓弦の音が響く特別な一日になります。新緑の季節の糺の森は木漏れ日が美しく、流鏑馬の前後に森の中の参道を歩くだけでも京都の新緑を堪能できます。下鴨神社の境内には、みたらし団子の発祥とされる「加茂みたらし茶屋」もあり、参拝と合わせて立ち寄る人が多い場所です。