6月1日前後、日本各地の河川で鮎漁が解禁されます。
鮎(あゆ / Ayu)は、日本人が「川魚の女王」とも呼ぶ淡水魚です。体長は約20〜30cm。清流にしか棲まず、川底の石に付着した苔を食べて育つため、身にスイカやキュウリに似た独特の香りがあります。この香りから「香魚(こうぎょ)」という別名を持っています。
🎣 日本独自の漁法「友釣り」
鮎を釣る方法として日本で最も広く行われているのが「友釣り(ともづり / Tomozuri)」です。この漁法は世界的にも珍しいとされています。
鮎は強い縄張り意識を持つ魚です。自分のエサ場に他の鮎が入ってくると、体当たりで追い払おうとします。友釣りは、この習性を利用した漁法です。生きた鮎を「おとり」として針をつけた状態で川に放ち、縄張りを持つ野生の鮎が体当たりしてきたところを、おとりの鮎に仕掛けた針で引っかけて釣り上げます。
友釣りに使う竿は8〜10メートルと非常に長く、釣り人は腰まで川に立ち込んで竿を操ります。6月の解禁日には、人気の河川に早朝から釣り人が並ぶ光景が各地で見られます。
体験のポイント
鮎漁と鵜飼いに関するポイントです。
- 長良川の鵜飼い(岐阜県):鵜飼い(うかい / Ukai)は、訓練した鵜(う / cormorant)を使って鮎を捕る伝統漁法です。岐阜県岐阜市の長良川鵜飼いは1300年以上の歴史があり、宮内庁の「御料鵜飼(ごりょううかい)」として皇室に鮎を献上する役割も担っています。鵜匠(うしょう)と呼ばれる漁師が、かがり火を焚いた船の上から10〜12羽の鵜を操り、川に潜った鵜が鮎を丸呑みにして船に戻ります。鵜の喉には紐が巻かれているため、一定の大きさ以上の鮎は飲み込めず、鵜匠が口から吐き出させて回収します。観覧船に乗って川の上から見ることができ、シーズンは5月11日〜10月15日です。
- 鮎の食べ方:鮎の代表的な食べ方は「塩焼き」です。串に刺した鮎に粗塩をふり、炭火でじっくり焼きます。内臓ごと食べるのが通の食べ方で、独特のほろ苦さが鮎の香りと合います。川沿いの料理店や観光やなでは、炭火で焼きたての鮎を食べることができます。
- 「やな」での体験:「やな(梁)」は、川の中に竹や木で作った仕掛けを設置し、流れてきた鮎を捕らえる伝統的な漁法です。観光用に整備された「やな場」では、捕れた鮎をその場で塩焼きや刺身にして食べることができます。岐阜県の郡上八幡や栃木県の那珂川沿いに有名なやな場があります。
- 鵜飼い観覧のアクセス:長良川鵜飼いの乗船場は、JR岐阜駅からバスで約15分です。観覧船は事前予約制で、シーズン中は早めの予約が必要です。乗船料は大人3,500円前後。船上で弁当を食べながら鵜飼いを見るスタイルが一般的です。
🐟 川魚の国
島国である日本は海の魚のイメージが強いですが、山と川が多い国土には豊かな川魚文化もあります。鮎のほかにも、岩魚(いわな)、山女魚(やまめ)、虹鱒(にじます)など、清流で育つ魚を食べる文化が各地にあります。
6月に日本の地方を旅行すると、川沿いの道の駅や料理店で「鮎の塩焼き」の看板を目にする機会が増えます。長良川の鵜飼いは岐阜市の中心部で行われており、名古屋からJRで約20分とアクセスも良い場所です。かがり火に照らされた川面で鵜が鮎を捕る光景は、1300年前と同じ漁法が現代の日本で続いていることを実感させてくれます。