『7月1日〜31日』1か月続く日本最大の祭礼――京都・祇園祭と山鉾巡行

京都の祇園祭(ぎおんまつり / Gion Matsuri)は、7月1日から31日までの1か月間にわたって行われる八坂神社(やさかじんじゃ / Yasaka Jinja)の祭礼です。869年、都に疫病が流行した際に、66本の鉾(ほこ)を神泉苑(しんせんえん)に立てて御霊会(ごりょうえ)を行ったのが起源とされています。1100年以上の歴史を持ち、日本三大祭りの一つに数えられます。2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。

⛩️ 1か月の祭礼構成

祇園祭は単一のイベントではなく、1か月間にわたる複数の神事と行事の総称です。観光客にとっての主な見どころは以下の通りです。

前祭(さきまつり)
7月14日〜16日の「宵山(よいやま / Yoiyama)」は、山鉾が各町内に建てられた状態で展示される3日間です。提灯に灯が入り、祇園囃子(ぎおんばやし)が演奏されます。15日と16日の夜は四条通・烏丸通が歩行者天国になり、露店が並びます。
7月17日の「前祭山鉾巡行(さきまつりやまぼこじゅんこう)」は、23基の山鉾が四条烏丸を出発し、四条通→河原町通→御池通を巡行します。巡行は午前9時に始まり、正午過ぎまで続きます。

後祭(あとまつり)
7月21日〜23日の宵山と、7月24日の後祭山鉾巡行(11基)があります。後祭は前祭に比べて規模が小さいですが、露店がなく落ち着いた雰囲気で鑑賞できます。2014年に約50年ぶりに復活した「大船鉾(おおふねほこ)」や、2022年に約200年ぶりに巡行に復帰した「鷹山(たかやま)」は後祭の注目です。

神幸祭・還幸祭
7月17日夕方の「神幸祭(しんこうさい)」で八坂神社の3基の神輿が四条寺町の御旅所(おたびしょ)に渡御し、7月24日の「還幸祭(かんこうさい)」で神社に戻ります。山鉾巡行は神輿渡御のために道を清める「露払い」の役割を持っています。

観覧のポイント

  • 有料観覧席:前祭・後祭ともに御池通沿いに有料観覧席が設けられます。全席指定で、京都市観光協会のウェブサイトで事前販売されます。例年6月上旬に販売が開始されます。
  • 辻回し(つじまわし):巡行最大の見どころは、交差点で山鉾の方向を90度変える「辻回し」です。車輪の下に青竹を敷き、水をかけて滑らせます。四条河原町と河原町御池の2か所で見ることができます。
  • 山鉾の懸装品(けそうひん):山鉾にはペルシャ絨毯、ゴブラン織り、中国やインドの染織品が飾られており、「動く美術館」と呼ばれます。宵山期間中は一部の山鉾に上がることができ、懸装品を間近で見られます。
  • 粽(ちまき):各山鉾町で販売される「粽」は食べ物ではなく、笹の葉で作られた厄除けのお守りです。玄関先に吊るして1年間の無病息災を祈ります。人気の鉾の粽は早い時間に売り切れます。
  • 混雑と暑さ:前祭の宵山(特に7月15日・16日の夜)は約30万人以上が訪れます。7月の京都は気温35℃前後、湿度も高いです。日中の巡行観覧には帽子・日傘・飲料水が必需品です。

🏮 「祇園祭」が日本全国に広がった理由

祇園祭の名を持つ祭りは京都だけのものではありません。この後の記事(⑨)で詳しく触れますが、日本全国に「祇園祭」の名を冠した祭りが存在します。八坂神社の祭神・牛頭天王(ごずてんのう / Gozu Tennou)への信仰が全国に広まり、各地の神社がそれぞれの祇園祭を行うようになったためです。京都の祇園祭は、その「本家」にあたります。

祇園祭は7月の京都を象徴する祭りであると同時に、日本の祭り文化の原型ともいえる存在です。1か月間のどこかで京都を訪れれば、何らかの祇園祭の行事に触れることができます。最も人出が多いのは前祭の宵山と巡行ですが、静かに楽しみたい場合は後祭がおすすめです。