日本では毎年7月から8月にかけて、全国で1,000か所以上の花火大会が開催されます。花火を「打ち上げる」のではなく「鑑賞する」文化が日本にはあり、数十万人が河川敷や海岸に座って空を見上げる光景は、日本の夏の象徴的な風景です。
🎆 日本の花火の歴史
日本で花火が広まったのは江戸時代です。1733年、隅田川で行われた「両国川開き(りょうごくかわびらき)」が、記録に残る大規模な花火大会の起源とされています。前年に大飢饉と疫病が流行し、犠牲者の慰霊と悪疫退散を祈願して花火が打ち上げられました。
江戸時代には「鍵屋(かぎや)」と「玉屋(たまや)」という2つの花火師の家が隅田川の花火で技を競いました。花火が上がるたびに観客が「たまやー!」「かぎやー!」と声を掛ける習慣は、この競演に由来します。現在でも花火大会で「たまやー」と叫ぶ人がいます。
日本の花火の特徴は「球形に開く」ことです。世界の多くの国の花火は上空で不規則に広がりますが、日本の打ち上げ花火は球体状に均一に開くように設計されています。この「真円(しんえん)」の美しさが日本の花火師の技術の核心です。競技花火大会では、真円の精度、色の鮮やかさ、消え際の美しさが審査対象になります。
2026年の主な花火大会
| 隅田川花火大会 | 7月25日(土) | 約2万発 | 東京都台東区・墨田区 |
| ぎおん柏崎まつり海の大花火大会 | 7月26日(日) | 約1万6千発 | 新潟県柏崎市 |
| 葛飾納涼花火大会 | 7月28日(火) | 約2万発 | 東京都葛飾区 |
| 松江水郷祭湖上花火大会 | 8月1〜2日 | 2日間計約2万1千発 | 島根県松江市(宍道湖上) |
| 足利花火大会(第110回記念) | 8月1日(土) | 約2万発 | 栃木県足利市(渡良瀬川河畔) |
| 長岡まつり大花火大会 | 8月2〜3日 | 約2万発 | 新潟県長岡市(信濃川河川敷) |
| 神明の花火大会 | 8月7日(金) | 約2万発 | 山梨県市川三郷町 |
| 前橋花火大会(第70回) | 8月8日(土) | 約1万5千発 | 群馬県前橋市(利根川河畔) |
| 諏訪湖祭湖上花火大会 | 8月15日(土) | 約4万発 | 長野県諏訪市(諏訪湖上) |
| 熊野大花火大会 | 8月17日(月) | 約1万発 | 三重県熊野市(七里御浜海岸) |
| 全国花火競技大会(大曲の花火) | 8月29日(土) | 約1万8千発 | 秋田県大仙市(雄物川河川敷) |
🍧 屋台と「歩き食べ」
花火大会の会場周辺には、数十から数百の屋台(やたい / Yatai)が並びます。焼きそば、たこ焼き、かき氷、りんご飴、焼きとうもろこし、イカ焼き、ビールなど、日本の祭りの定番の食べ物が揃います。
屋台で買った食べ物を歩きながら食べる「歩き食べ(あるきぐい)」は、日本では祭りやイベントの会場でのみ許容される行為です。日常生活で食べ物を持ったまま歩くことは一般的ではなく、電車内での飲食も避けられる傾向があります。花火大会や祭りの日だけは、この暗黙のルールが緩和されます。
屋台で食べたあとのゴミ処理は重要なマナーです。花火大会の会場にはゴミ箱が設置されますが、数に限りがあるため、自分で持ち帰る前提で袋を用意しておくのが現実的です。翌朝、花火大会の会場が清掃ボランティアによって清潔に戻されるのも日本の花火大会の風景の一部です。ゴミは会場のゴミ箱に捨てるか、必ず持ち帰ってください。
📸 花火大会の鑑賞マナー
花火大会にはいくつかの暗黙のルールがあります。レジャーシートで場所を確保する場合、必要以上のスペースを占有しないこと。立ち上がって後ろの人の視界を遮らないこと。三脚を使った撮影は周囲に配慮して設置すること。大きな声での会話は花火の音を楽しんでいる周囲の妨げになります。
東京で花火を見るなら隅田川が最も有名ですが、約100万人が集まるため非常に混雑します。葛飾納涼花火大会は打ち上げ地点との距離が近く、迫力を重視する人に向いています。東京以外に足を延ばせるなら、長岡の「フェニックス花火(2004年の中越地震からの復興を祈願して始まった2キロメートルにわたる花火)」や、諏訪湖の湖上花火(水面に反射する花火が二重に見える)、熊野の「海上自爆(船から海面に火薬を投げ入れ、半円形の花火を作る300年以上の伝統がある演目)」など、東京では体験できない花火大会が各地にあります。