8月11日は「山の日(やまのひ / Yama no Hi)」です。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨として2016年に施行された、日本で最も新しい国民の祝日です。8月にはもともと祝日がなく、お盆休み(8月13日〜16日頃)の直前に祝日を置くことで、長い休暇を取りやすくする効果も意図されていました。
⛰️ 8月11日の背景
8月11日に特定の山岳関連の歴史的出来事があるわけではありません。当初は8月12日が候補でしたが、この日は1985年の日本航空123便墜落事故の日と重なるため、前日の8月11日に変更されたという経緯があります。「8」を山の形に見立て、「11」を木が2本並ぶ姿に見立てたという説明もありますが、これは後付けの語呂合わせです。
日本の国土の約3分の2は山地です。日本人と山の関わりは深く、山を信仰の対象とする文化は古代から現在まで続いています。富士山、立山(たてやま)、白山(はくさん)は「日本三霊山」と呼ばれ、山そのものが御神体として崇められてきました。
日本の山岳信仰を理解するポイント
- 修験道(しゅげんどう / Shugendou):山岳での厳しい修行を通じて超自然的な力を得る日本独自の宗教です。神道と仏教が融合した信仰体系で、修行者は「山伏(やまぶし)」と呼ばれます。4月の記事で紹介した日光山輪王寺の強飯式も修験道に由来しています。
- 富士山と信仰登山:富士山の登山シーズンは7月上旬〜9月上旬です。古来より信仰登山の対象であり、現在でも山頂に浅間大社(せんげんたいしゃ)の奥宮があります。年間の登山者数は約20万人です。
- 山の日に行われるイベント:各地の山で記念登山やイベントが開催されます。ただし特定の大規模な祭礼があるわけではなく、祝日としての歴史が浅いため、「この日にこれをする」という確立した習慣はまだ形成途上です。
- お盆との接続:8月11日(山の日)→12日→13日(迎え火)と続くため、多くの企業が11日から16日まで6連休になります。この期間は新幹線・飛行機・高速道路がピークの混雑を迎えます。
🗻 「山」がつく日本語と日本人の山への意識
日本語には山に由来する表現が数多くあります。「山場(やまば=最も重要な局面)」「山を張る(やまをはる=結果を予測して賭ける)」「山あり谷あり(やまありたにあり=人生の起伏)」「お山の大将(おやまのたいしょう=小さな世界で威張る人)」など、日常会話の中に山が自然に組み込まれています。
山の日は祝日としての知名度がまだ高くなく、「何をする日なのか」を即答できない日本人も少なくありません。しかし、日本の国土が山に覆われ、山が信仰と生活の両方に深く関わっている事実は変わりません。8月11日に日本にいるなら、近くの山や展望台から景色を眺めてみてください。夏の山は緑が最も濃い時期であり、冬の雪山や秋の紅葉とは異なる力強い姿を見せています。