日本の夏に欠かせない甘味が「かき氷(かきごおり / Kakigouri)」です。氷の塊を専用の機械で薄く削り、色のついたシロップをかけて食べる、日本で最も古い冷菓の一つです。屋台、甘味処(かんみどころ)、カフェ、コンビニエンスストアまで、夏の日本のあらゆる場所でかき氷を見つけることができます。
🍧 かき氷の歴史
かき氷の記録は平安時代にまで遡ります。清少納言の『枕草子』(10世紀末〜11世紀初頭)に「削り氷(けずりひ)にあまづら入れて、新しき金鋺(かなまり)に入れたる」という記述があります。「あまづら」はツタの樹液から作る甘味料で、これが日本最古のかき氷の記録とされています。
平安時代のかき氷は貴族だけが食べられる贅沢品でした。冬に切り出した天然氷を「氷室(ひむろ / Himuro)」と呼ばれる貯蔵庫に保存し、夏に取り出して使っていたためです。庶民がかき氷を食べられるようになったのは、明治時代に製氷技術が導入されてからです。
現在のかき氷には2つの系統があります。一つは屋台や祭りで食べる「縁日系」で、ガリガリとした粗い氷にイチゴ・メロン・ブルーハワイなどの色鮮やかなシロップをかけたものです。価格は300円〜500円程度です。もう一つは近年急増している「専門店系」で、天然氷や純氷を極薄に削り、自家製シロップや果物、あんこ、練乳をたっぷりかけたものです。価格は800円〜2,000円程度で、人気店では1時間以上の行列ができることもあります。
かき氷を楽しむポイント
- 天然氷(てんねんごおり):冬に湖や池の表面に張った氷を切り出し、氷室で保存した氷です。栃木県日光市、埼玉県長瀞町(ながとろまち)、秩父市などに天然氷の蔵元が残っています。天然氷は不純物が少なく、削ると綿のように柔らかくなるのが特徴です。「天然氷のかき氷」を看板にする店は全国に増えています。
- 定番のシロップ:イチゴ(赤)、メロン(緑)、レモン(黄)、ブルーハワイ(青)が屋台の定番です。実はこれらのシロップの味は果汁ではなく合成香料で、「味の違い」は主に香りと色によるものだという指摘もあります。練乳(れんにゅう)をかけるのが好きな人も多いです。
- 宇治金時(うじきんとき):抹茶シロップと粒あんを乗せたかき氷で、日本の甘味処の定番メニューです。「金時」はあんこ(小豆)を意味します。練乳やバニラアイスを追加することもあります。
- 「氷」の旗:かき氷を販売する店の目印は、白地に赤い文字で「氷」と書かれた旗です。波の模様が描かれたこの旗は、日本の夏の風景の一部です。見かけたら、かき氷が食べられる店が近くにあります。
🏮 夏の甘味いろいろ
かき氷のほかにも、日本の夏には独特の冷たい甘味があります。「水羊羹(みずようかん / Mizu Youkan)」は寒天と餡で作る冷たい羊羹で、通常の羊羹よりも水分が多くつるりとした食感です。「葛切り(くずきり / Kuzukiri)」は葛粉を固めて細く切り、冷水に浸したものを黒蜜で食べます。「あんみつ」は寒天・餡・求肥(ぎゅうひ)・果物を盛り合わせた甘味で、抹茶アイスを添えた「クリームあんみつ」は甘味処の人気メニューです。
8月の日本は気温35℃を超える日が続きます。観光で歩き疲れたとき、甘味処やカフェで食べるかき氷は、暑さをしのぐ実用的な手段でもあります。「氷」の旗を目印に店を探してみてください。屋台の300円のかき氷も、専門店の1,500円のかき氷も、日本の夏を体験する一つの入口です。